小噺1
妄想盛りだくさん。
文才がないので文の拙さには目を瞑ってやってください・・・。


「哀」

「お前さ、なんかあったの?」
「・・・」
隣で飲んでいた銀時に唐突に問われ、驚いて顔を向ける。
「何だ、急に・・・」
悟られぬようにつとめて冷静に声を出した。
銀時はこちらに視線は向ける事無く、手元の猪口を見つめたままだ。
「や、何か嫌な事でもあったのかなーって」
とくんと、心臓が大きな音を立てた。
「そんな事は・・・」
「話したくないなら話さなければいいし、話したければ話すといいさ」
普段は死んだ魚のような瞳をしているくせに、こういう時ばかり妙に勘のいい奴だ。
溜め息をひとつ零して目を閉じた。
口を開こうとしたが、銀時の声がそれを遮る。
「ま、今の俺は話聞いてやるくらいしかできねーけど・・・」
「!?」
銀時は何を思ったのか俺の頭に手をかけると自分のほうへ引き寄せた。力強い腕がするりと降りて肩を抱く。
「泣きてぇときは胸くらい貸してやるよ」
優しい声と暖かい腕に安心して、銀時の肩に頭を預けた。
押し殺していた感情が溢れ出してくる。視界がふわりと歪んだ。
「・・・今日、仲間が1人殺された」
「うん」
「・・・いい奴だったよ、まだ若かったのに・・・」
「そうか」
「・・・・・・・・・っ」
涙が頬を伝って、銀時の着物に落ちた。
赤子をあやす様に銀時の大きな手が長い髪を撫でる。
その温度に切なさを覚えて、またひとつ涙を零した。





「楽」

こいつは普段滅多に表情を崩さないが、飲んでいる時、尚且つ酔っている時はわりと良く笑う事を知っている。
とは言え、結構強いのでこいつが酔う前に自分が潰れてしまう方が多いのだが。
目の前に座する男は涼し気な顔で猪口に注がれた酒を口に運んでいる。
もう結構な量を飲ませている筈なのだがちっとも顔色が変わっていない。
徳利を手に取り、空になった猪口に酒を注いでやる。自らの猪口に注がれた酒を飲み干すと、俺の猪口にも釈をしてくれた。
そうこうしている間に、自分の方が酔ってしまった様で、視界がゆらゆらしてきた。
「ヅラァ…」
「ヅラではない、桂だ」
「きもちわるい…」
「お前もう酔ったのか?大して飲んでいないだろうが…」
本当は吐く程酔っていた訳ではないが、酷く酔った振りをしてヅラに絡みついた。
だらしなくヅラに寄りかかって押し倒そうとしてみたが、腕を取られてそのままヅラの膝の上に倒れこんだ。
「うおっ!」
「大丈夫か?ほら・・・」
どうしたことか、ヅラは俺の頭を膝に乗せて寝かせてくれた。
ヅラは猪口を片手に、左手で俺の頭を撫でる。
ほんのり微笑みながら優しい視線を落としている。
「そこで吐くなよ」
言いながら、ヅラはまた飲んでいた。
当初の目的と変わってしまったが、これはこれで良しとしようではないか。
目が合うと、ヅラはにっこりと微笑んでくれて頭を撫でられる心地よさに、俺はうっとりと目を閉じた。





「ヅラとエリザベス」

「エリザベスー、飯が出来たぞ〜」
台所から声をかけると、どてどてと愛らしい足音を立てながらこちらにやってきた。
水道で手を洗ってから席に着く。なんて賢いのだろうか。
それからお世辞にも美味いとは言えない料理を黙々と食べ始めた。
指がなくて箸が使えないので、エリザベス専用のフォークとスプーンを用意してある。
それを上手く使いながら食べている姿もとても愛らしい。
夕飯を食べながら、その日の出来事をエリザベスに話すのが日課だ。
エリザベスは言葉を発することはないけれども、俺の話を聞いてちゃんと要所要所で相槌を打ってくれる。
坂本の馬鹿がこいつを置いて行った時はどうしてくれようかと思ったものだが、今となっては感謝しているくらいだ。
エリザベスはご飯を食べ終わると空になった食器を台所に下げに行った。
戻ってきたエリザベスの頭をよしよしと撫でてやると、嬉しそうに擦り寄ってきた。
「今日は一緒に風呂に入るか?」
頭を撫でながら問うと、円らな瞳をこちらに向けながらこっくりと頷いた。
一緒に風呂に入って、エリザベスの体を洗ってやってから自分の髪を洗う。
時折背後から妙な視線を感じたような気がしたが、まあ気のせいだろう。
大きなバスタオルでエリザベスを包んでやって、風呂から上がった。
着衣を整えてから、エリザベスの体を拭いてやると気持ちよさそうに目を閉じ・・・、たりはせずにじいっとこちらを見つめていた。
「なんだ、もしかして一緒に寝たいのか?」
自分の髪を手拭いで拭きながら尋ねると、またしてもこっくりと大きく頷いた。
「仕方ないな、今日だけだぞ?」
微笑みながら答えてやると、エリザベスはこくこくと忙しく頭を下げている。
そんな姿も愛らしくて、ぽんぽんと頭を撫でてやった。
寝室に布団を引いて、エリザベスを寝かせてやる。
敷布団は一枚だが、掛け布団はもう一枚用意した。
エリザベスはまあるい体をしているので、掛け布団が一枚だけだと俺がはみ出してしまって寒い。
電気を消して隣に潜り込むと、エリザベスは体をずらして俺のために少しスペースを開けてくれた。
布団はひんやりと冷たかったけれども、エリザベスの体はとても温かかった。
俺は少し話しをしていたが、ほどなくしてエリザベスは先に眠ってしまったらしい。
「おやすみ、エリザベス」
すぐ側のエリザベスに声を掛けて、俺も眠りに付いた。
夜中耳元でなにやら妙な息遣いが聞こえた気がしたが、きっと夢であろう。


受信トレイ
04/11/30 11:45
坂田先生
おなかすいたなぁ

今日一緒に帰らない?

受信トレイ

04/11/30 13:12
Re:Re:おなかすいたなぁ
じゃあ、部活終わったら教室で待ってろよ。
送ってやるから。
今日さみーし。
受信トレイ
04/11/30 13:05
桂小太郎
Re:おなかすいたなぁ
授業中にメールしてくるのはやめてください。

それから、今日は部活があるので一緒に帰れませんから。
先生だって部活あるじゃないですか。


受信トレイ
04/11/30 22:47
桂小太郎

寒いからといって

こたつに寝ないで下さいね。
風邪引きますから。

おやすみなさい。